人間にとっては何ともなくてもワンちゃんにとっては非常に危険な食べものは数多くあります。チョコレートはその代表と言えます。場合によっては死に至る場合もありますの。正しい知識を身につけて大切な愛犬を守りましょう。
人間が平気でも、ワンちゃんにとっては危険な場合も
人間が普段食べているものでも、ワンちゃんにとっては非常に危険で中毒症状や体調不良を引き起こしたり、場合によっては死に至ることもあります。「人間が食べられるんだから」という軽い気持ちで与えてしまったばかりに取り返しのつかないことになってしまうなんてケースも…。
また「テーブルに置いておいた食べ物を目を離したすきに食べられた」、「床にこぼしたものを全て食べてしまった」など、こちらから意図的に与えていなくても、誤食誤飲につながる恐れがあります。
何を食べさせてはいけないのか十分理解し口にさせない環境づくりを徹底しましょう。
小型犬である体の小さいポメラニアンですので、少量の誤食でも重大な症状につながるケースが多くなります。特に神経を使い愛しのワンちゃんを守ってあげましょう。
【危険度別】与えてはいけない食べ物
人間が平気でもワンちゃんが食べると特に危険なものを危険度順に紹介していきます。
「おかしいな」と思ったら直ちに動物病院を受診してください。
危険度★★★★★(中毒症状、死に至る恐れあり)
中毒症状を起こし摂取量によっては死に至る危険な食べ物です。
カカオ製品
チョコレートやココアなどカカオを含む製品はワンちゃんにとって最も危険な食べ物として知られています。カカオの香り成分の一つであるデオブロミンが中枢神経を刺激して中毒症状を引き起こします。
下痢、嘔吐、発作、痙攣など様々な症状を引き起こし、摂取量が多いと死に至る場合もあります。
成犬のポメラニアン(体重3kg)の致死量の目安は、ビターチョコレートで板チョコ一枚分(60g)程。ミルクチョコレートになるとカカオ含有率が下がりますので致死量の目安は多くなりますが、とにかく口にさせないこと。
お子さんのいる家庭ではおやつのチョコレートの食べこぼしなど、特に注意が必要です。また机の上に置いていた板チョコを目を離したすきに丸々食べてしまっていたという事例も。ワンちゃんの手の届かないところでの管理が重要です。
ネギ類
玉ねぎや長ねぎなどのネギ類の食べ物に含まれる、アリルプロピルジスルフィドと呼ばれる成分が中毒症状を引き起こします。
この成分はワンちゃんの赤血球を破壊し貧血を引き起こします。運動を嫌がるなど次第に衰弱していき、血尿や胃腸障害といった症状が出ます。摂取してから症状が出るまでに数日程時間がかかる場合がありますが、誤食してしまった場合は直ちに動物病院を受診してください。
玉ねぎ、長ネギ、ニラ、にんにく、しょうが、ラッキョウなど、ユリ科植物が仲間として該当します。種類によってアリルプロピルジスルフィドの含有率が異なりますので摂取量に関わらず直ちに動物病院へ行くようにしましょう。
アルコール
アルコールは中枢神経に作用して人間と同じように酔っぱらった状態になります。呼吸障害、意識障害を伴い、ポメラニアンのような小型犬の場合少量の誤飲でも死に至ります。
「愛犬とともに晩酌を…」なんて考えている方は十分注意してください。「目を離したすきに…」、「こぼしてしまったのを少し舐めただけなのに…」など悲しい体験談は後を絶ちません。
また飼い主さんが酔っぱらってしまい判断力が低下することが原因というケースも見受けられます。お酒の取り扱いには十分注意が必要です。
レーズン・ぶどう
最近になって危険な食べ物として報告が上がってきている食べ物です。摂取後数時間で嘔吐や下痢、食欲不振などの症状が現れます。数日後には腎不全を起こし、重度の場合は死に至ります。
いまだ不明な点が多く、ぶどうのどの成分が中毒症状を引き起こしているかはっきりしていません。
ポメラニアンではありませんが、同程度の大きさである小型犬のマルチーズの死亡事例が日本小動物獣医学会誌に取り上げられていました。参考までにリンクを掲載しておきます。
ブドウ摂取後に急性腎不全を発症して死亡した犬の1 例 /日本小動物獣医学会誌
解明してないことが多い食べ物ですが危険なことは確かですので口にさせないよう注意しましょう。
アボカド
アボカドに含まれるペルジンという成分が原因で中毒症状が起こります。
症状の主なものとしては嘔吐、下痢、呼吸困難、痙攣。摂取量が多いと死に至ります。
この中毒症状はアレルギー反応によって引き起こるため、少量で症状が出るワンちゃんもいれば多量摂取しても症状が全くでないワンちゃんもいるなど、症状は個体差によって大きく異なります。またアボカドの種類によってペルジンの含有量が異なってきますので、「これくらい食べさせたら危険だ」と明確に提示することが難しいものになります。
危険がわずかでもある限り与えないのが賢明です。
カフェイン
カフェインが中枢神経に直接刺激を与え、中毒症状を引き起こします。
極度の興奮状態に陥り、嘔吐、下痢の症状が出ます。摂取量が多いと痙攣、呼吸不全といった重い症状が出て死に至る場合もあります。
カフェインを含む飲み物はコーヒーだけではありません。栄養ドリンク、紅茶や緑茶といった身近な飲み物にもカフェインは含まれていますので誤飲しないよう注意しましょう。
またインスタントコーヒーの粉、コーヒー豆、茶葉の誤食には特に注意が必要です。また最近話題の「デカフェ」や「カフェインレス」と言われている飲み物についても微量のカフェインが含まれていますので心配なものは与えないようにしましょう。「飲む」より「食べる」ほうがあっという間です。多量の摂取につながります。
危険度★★★★☆(重大な障害、後遺症を引き起こす)
貝類・タコ・イカ
貝類・甲殻類の食べ物にはビタミンB1を破壊する作用があるチアミナーゼという酵素が含まれています。過剰摂取することで体内のビタミンB1が不足し、ビタミンB1欠乏症に陥る恐れがあります。
症状は痺れ、感覚異常、筋力低下などです。
加熱することでチアミナーゼが破壊され害はなくなるのですが、そもそも消化が悪い食べ物ですので消化不良の原因になります。そのため加熱したからといって与えていい食べ物にはなりませんので注意してください。
マカダミアナッツ
何の成分が原因で引き起こるのかはっきりはしていませんが、マカダミアナッツを食べて中毒症状が出たという報告が多々上がっています。
嘔吐、発熱、足のしびれなど、様々な症状がでますが、驚きは発症の速さです。およそ12時間以内にこれらの中毒症状が発症するとされています。ですが治療の有無にかかわらず1日から2日で症状が回復する場合がほとんどです。
とはいえ症状が出たら直ちに動物病院を受診するようにしてください。
鶏・魚の骨
鶏の骨は縦に裂けるように割れ非常に鋭利になります。誤って食べてしまうと食道や消化器官に突き刺さり非常に危険な状態になります。
魚の骨も同様に鋭利です。こちらは人間の場合も誤飲すると危険ですよね。身をもってその危険さを知っている飼い主さんも多いはず。取扱いには十分注意してください。
スルメ
スルメは水分を含むと何倍の大きさにも膨れ上がります。
人間とは違い、犬は噛み千切るのに特化した歯を持っていて磨り潰すというか噛み方ができません。そのため飲み込める大きさに噛み千切り、そのまま丸呑みするというわけです。するとどうなるでしょうか。大きいまま丸呑みされたスルメはワンちゃんの胃や腸の中で何倍にも膨れ上がり、胃や腸の閉塞につながります。
吐くに吐けず排泄もできない。そんな危険な状態に陥り最悪の場合手術という形にもなりかねません。
危険度★★★☆☆(体調不良を引き起こす)
ナッツ類(マカダミアナッツ除く)
ピーナッツやくるみ、アーモンドなどは高カロリーで油分も多く、消化も良くありませんので消化不良を起こしてしまいます。
またごくまれにアレルギー反応を示すワンちゃんもいるようです。蕁麻疹や肌の赤みなどの症状が出たらアレルギーを疑いましょう。
さらにピーナッツを噛まずに丸呑みしてしまうとのどに詰まってしまうという、違う意味の危険もはらんでいます。ナッツ類といってもマカダミアナッツのみ危険度が高いので注意が必要です。
生卵
白身に含まれるアビジンという成分が、ビオチンと呼ばれるビタミンの吸収を抑えてしまいます。多量に摂取することで皮膚炎や脱毛症、免疫力の低下につながります。
また少量の摂取でもビタミンバランスの崩れから下痢を引き起こしますので注意してください。
氷など冷たいもの全般
お腹を下し下痢につながります。ワンちゃんによる個体差が大きいようですが、大丈夫な子でもあげすぎには注意してください。
体調をよく見極めてワンちゃんに合った与え方をするようにしましょう。
人間用に味付けされた製品全般
塩分や糖分などの過剰摂取につながり生活習慣病の原因になります。ワンちゃんにとっては味が濃かったり甘すぎたりするものがほとんどです。一度味を覚えると犬用のおやつやドッグフードを食べなくなってしまうなんてことにもなりかねません。
[st-kaiwa3]そもそも人間の食べ物を与えるという考えが間違っています。ワンちゃんにはワンちゃん用の食べものをあげるようにしましょうね。[/st-kaiwa3]
少しでも異常を感じたら動物病院へ
ここまで特に注意が必要な食べ物についてお伝えしてきました。おさらいを兼ねて一覧でまとめておきます。
- 危険度★★★★★
カカオ製品、ネギ類、アルコール、レーズン・ぶどう、アボカド、カフェインなど - 危険度★★★★☆
貝類・タコ・イカ、マカダミアナッツ、鶏・魚の骨、スルメなど - 危険度★★★☆☆
ナッツ類(マカダミアナッツ除く)、生卵、氷など冷たいもの全般、人間用に味付けされた製品全般
中毒症状やアレルギー反応といったものは個体差により症状が大きく異なります。「少量だから」「舐めただけだから」といって安心はせず、いつも以上に体調の様子をよく観察してください。少しでもおかしいなと感じた場合は直ちに動物病院を受診してください。
また「危険度★★★★★」として紹介した食べ物に関しては、症状が出ていなくとも口にした時点で動物病院で診てもらうことを強くおすすめします。
大切な愛犬を守ることができるのは飼い主のあなたですよ。