ワンちゃんのトイレのしつけにおいて「叱る」という行為はできるだけ控えましょう。失敗したからといって怒鳴ってはダメです。犬はもともと外で生活する動物です。当然ですがしつけない限り室内でトイレすることを覚えるわけではありません。室内でのトイレトレーニングは飼い主さんの環境づくりが大切です。
お家に来たその日からトレーニング開始
室内犬であるポメラニアンにとってトイレトレーニングはもっとも重要なしつけの一つ。家のあちこちで粗相はされてはたまったもんじゃありません。
そのため吸収力の高い仔犬のうちからきちんとしつけすることが肝心になります。ワンちゃんがお家に来たその日がトレーニングの開始日です。
トイレトレーニングのポイントは飼い主さんが失敗させない環境を作ってあげること。ここではそのための準備から、手順・方法を詳しく紹介していきます。
しつけのための準備
【用意するもの】
・トイレシーツ
必需品です。このシートの上にトイレをしてもらいます。
・サークル
しつけのスタート時、トイレシーツを囲うために使用します。
確実にトイレを覚えさせるためにはとても重要なものになります。
トイレの場所を決める
神経質な性格が目立つポメラニアンですのでトイレの場所には十分気を使いましょう。中にはちょっとした理由からトイレを敬遠する子もいます。
安心して排泄できるように静かな場所に置くのがGood。部屋の入口など人が頻繁に通るような場所に置くのはNGです。トイレがしたいのに気が散ってしまってできないなんてことになりかねません。人があまり通らない部屋の隅っこに設置するのがベストです。
また犬はとてもきれい好きな動物です。「寝床の近くだから」というのが原因でトイレをしたがらない子も中にはいますので、寝床とトイレはなるべく離しておくとよいでしょう。
部屋の間取りに合わせ、トイレのベストポジションを見つけてくださいね。
トレーニング用トイレをつくる
場所が決まったらサークルを使ってそこにトレーニング用のトイレをつくっていきます。サークルで囲いをつくり、その中にトイレシーツを敷き詰めれば完成です。
しつけの手順と方法
STEP1 シーツの上でトイレすることに慣れさせる
①トイレをしたいそぶりを見せたらサークルの中へ
トイレをしたいそぶりを見せたらワンちゃんを抱え、すぐにトレーニングトイレのサークルの中に入れてあげましょう。
トイレシーツをサークルで囲っていますのでワンちゃんはこの中から出ることはできません。つまりこれで絶対に失敗しない環境になっているというわけです。トイレシーツの上でトイレをする感覚を確実に覚えていってもらいます。
ワンちゃんが失敗してしまう前に連れていってあげる必要があるため、飼い主さんがワンちゃんの様子をよく観察してトイレサインをうまくキャッチしなければいけません。
- 起きたあと
- 運動や遊んだあと
- ご飯のあと
- ハウスから出たあと
ワンちゃんがトイレをしたくなるこうした場面は特に観察しておきましょう。
- ソワソワ落ち着かなくなる
- ぐるぐる部屋を歩きまわる
- 床のにおいを嗅ぎまわる
このような行動を始めたら、それはトイレサインです。見逃さないようにしましょう。
②様子を見ながら声掛け
サークルの中に入れた後はトイレをするまで様子を見守ります。このとき「トイレ、トイレ」や「ワンツー、ワンツー」など声掛けをして排泄を促していきましょう。ワンちゃんにこの言葉と排泄をセットで記憶させることが目的です。排泄が終わるまで繰り返し声掛けをします。
この声掛けと排泄することがセットになって習慣化されることで、今後外出先でトイレをさせたいときなどに役立ちます。
声掛けをする言葉は家族で統一するようにしましょう。その時によって言葉を変えてしまうと混乱してしまい、記憶が定着しません。
③うまくできたらたっぷり褒める
しっかりとトイレシーツの上で排泄ができたらたっぷり褒めてあげましょう。「ここでトイレをするといいことがあるんだ」という意識を植え付けていきます。
STEP2 トイレの手助けを徐々に減らしていく
①囲いのサークルを一面ずつ外していく
囲いのサークルを一面外し、ワンちゃんがトイレの中に自由に出入りできる状態にしてあげます。トイレサインをキャッチしたら、「STEP1:②」で決めた声掛けをしながらトイレまで誘導してあげましょう。
最終的にワンちゃんがひとりでトイレに向かい、そこできちんと排泄できるようになればOKです。
サークルの囲いがなくトイレから出てしまいうまくできない。そんな場合は「STEP1」に戻ってください。焦りは禁物。トイレトレーニングに限ったことではないですが、ワンちゃんの得意不得意ももちろん存在します。焦らず確実にステップアップしていきましょう。
確実にできるようになってきたら、二面三面と徐々にサークルを外していきます。
②トイレシーツを一枚ずつ減らしていく
サークルの中すべての広い範囲にトイレシーツを敷き詰めていましたが、徐々に枚数を減らしていき、トイレシーツが敷いてある範囲を狭めていきます。最終的な目標はトイレシーツ一枚です。
こちらも焦ることなくゆっくりで構いません。”確実に”ステップアップしていきましょう。
「STEP1」に引き続き、「STEP2」でもうまくできたらたっぷり褒めてあげましょう。
手助けなくひとりでトイレできるようになったら合格!
飼い主さんの何の手助けもなく、ワンちゃんがしたいときにひとりでトイレができるようになったら合格!トレーニング終了です。
中には覚えるのに半年以上かかる子もいますが、必ずできるようになる日が来ますから焦らず・確実に・繰り返しトレーニングを重ねましょう。
トレーニングが終了してもうまくトイレができたときは褒めてあげるのを忘れずに!
トイレトレーニング成功の秘訣
失敗しても絶対に叱らない
どんな子も初めは失敗が続いてしまうものです。でも絶対に叱らないようにしてください。ワンちゃんは叱られることで排泄行為そのものが悪いことだと勘違いしてしまいます。
飼い主さんが見ていない隠れたところでトイレをするようになったり、無理に我慢をして重大な病気につながったり、またトイレしたことを隠そうと食糞が習慣となってしまったり、いいことは何一つありません。
失敗してしまっても騒ぐことなくスッと片付けてあげるようにしましょう。
失敗した場所は臭いが残らないよう綺麗に掃除
犬は自分の臭いの残っているところに排泄をする習性があります。そのため失敗をした箇所をそのままにしておくと、繰り返し同じところでミスをするようになってしまいます。
失敗してしまったら、すぐに拭き取って臭いが残らないきちんと消臭するようにしましょう。
実はこの習性はうまくしつけに応用できます。臭いがついたトイレシーツの一部をトレーニングトイレの中に入れておいてみましょう。そうすることでワンちゃんがトイレの場所を自分の臭いのする場所と認識し、そこで排泄しやすくなるというわけです。ぜひ実践してみてください。
成功したときはとにかく褒めて褒めて褒める
トイレトレーニングに限ったことではありませんが、特にこのトレーニングの場合はとにかく褒めることが重要です。成功したときはこれでもかというくらい褒めてあげてください。
きちんとトイレシーツの上で排泄することはいいことなんだとしっかりワンちゃんに認識させましょう。
室内できちんとトイレができることの重要性
ポメラニアンのような室内犬にとって、お家できちんとトイレができるということは非常に重要になります。「しつけするのは大変だし、毎日散歩のときにトイレをするからそれでいい」と思っている方がいたら是非考えを改めていただきたいと思います。
散歩のときなど外に出た時だけしかトイレができない体になってしまうと、台風だろうと雷が鳴っていようと、飼い主さんが熱で寝込んでいようと、外に連れ出さなければいけません。また今はしつけがないから楽だといっても、年を取って散歩に行けなくなったときにトイレさせるのに苦労することになってしまいます。
そうならないためにも、仔犬のうちからきちんとトレーニングをしてあげ、お家でのトイレをマスターしてくださいね。「焦らず、ゆっくり、確実に」トレーニングに取り組んでいきましょう。