税理士試験
それは、日本の会計三大資格の一つ。
今の「資格試験」の中で最も取るのが難しい資格とも言われている。
この不景気だから資格の一つでも取っておきたいと思うのは自然のことだが、
税理士試験だけは辞めておいたほうがいい。
その真相を説明しよう。
怖いもの知らずの大学生が陥りやすい罠
大学生になると、就活の為にも何か資格を取っておこうと思う学生も多いと思う。
うん、立派。
確かに、就活で履歴書やESの資格欄に「自動車免許」だけではさみしい。
そこで簿記検定や宅建、FPなどのいわゆるB級資格(がんばれば取れる資格)に人気が集まる。
そこで辞めておけばいいものの、ごく一部ではあるが、簿記2級に受かったりしてしまうと
「自分には会計の才能があるかも??」
と、勘違い野郎が発生する。
そうなるともう手がつけられない。
これまでとは目の色を変えて会計士や税理士、中小企業診断士など、仕事内容なんて大してわかっていないのに、前から目指していました風に頑張っちゃう意識の高い学生が誕生する。
目指すのは勝手だ。
しかし、目指す為の費用は親が出すんだぞ。
一体いくらかかるのか、自分が本当に合格可能性があるのか、考えてみろ。
税理士になれるまでの年数と費用
「税理士になりたい!」
その心意気と、後先考えずにものが言える大学生の度胸、これは本当に尊敬する。
しかし、これだけは覚えておいて欲しいことがある。
絶望的な低合格率
税理士の試験制度は科目合格制を採用している。全11科目のうち、5科目を何年かけてもいいから揃えること。揃った段階で晴れて税理士としての資格を手に入れることができる(いろいろ端折っているので細かいところは自分で検索して)。
イメージとしては、会計士試験が「広く浅く」、税理士試験が「狭く深く」。
※厳密に言うと、会計士は「超広く深く」、税理士試験は「広く超深く」
一見、ひとつのことに集中して取り組めるので税理士試験の方がとっかかり易いように思える。
しかしこれが罠。
仮にも合格率は10%前後の難関資格。
しかも受験者は何回も挑戦している方ばかりなので、その10%の「質」が違う。
また10%の試験に5回受かるのと、5%の試験に1度受かるのとどちらが難しいと感じるだろうか。
答えは言うまでもなく後者。
問題が自分にとってハマれば完全理解でなくても合格の可能性が出てくる。
しかし税理士試験の場合、たまたま1科目ハマったとしても、その偶然があと4回続くかどうかは疑問。
それに、落ちることも計算してあと何回あなたは試験を受ける予定でいるのか。
別に脅すわけではないが、どれだけ本気で税理士になりたいのか考えてからでも遅くはない。
膨大な時間を要する
一般的に、1科目1年、5科目5年でも“早い”部類に入る。
大学在学中に5科目揃えて、税理士として税理士法人や街の税理士事務所に就職して活躍したいなんて絵空事はやめとけ。
大学在学中の合格は「無理」!!
無理前提で受験勉強するのと、全く知らずに夢を見ながら勉強して途中で挫折するのでは、全く考え方が変わるはず。
またもっと言うと、大学在学中に3科目取得するのもほぼ無理。
大学生というのは悲しいくらいにポジティブなので「無理」とか「難しい」とかネガキャンしてしまうと、むしろそれがバネになってしまう。
しかし、現実は受からない…。
なぜなら、モチベーションが続かないから。
「やりたい!」って思っているときは、誰に何を言われてもやりたい。
それが大学生。
このときに大学生が求めている言葉は背中を押してくれる言葉だけ。
都合のいい言葉だけが聞こえる不思議ちゃんになってしまう。
まあ、それはしょうがないんだ。
それに、大学生活中に税理士を目指すということは、大学生としての楽しみを全て捨てる覚悟が必要だから、それだけは覚えておいて。サークル活動も、キャンパスライフも、恋愛もバイトも捨てて税理士試験に全て賭ける思い出やらないと受からない試験。
税理士になるのに一体いくらかかると思ってんの
税理士になるって言うんだったら、金の計算くらいできて当然だと思うけど、今の税理士試験の難しさから言って、ケチって独学でやろうなんて絶対無理だからね。
専門学校は必須。
TACとか大原とか色々あるけど、とりあえずこの二つのどちらかに入っていれば問題はない。
大体1科目10万~30万程度。
5科目素直に受けるとなると、100万は最低かかる。しかも5年で揃えるのは難しいし法律や制度は毎年改正されるから、毎年講座は取らなければいけない。短く見積もって「7年」、合計7~10講座その期間に取ると過程して、250万くらいが現実ラインではないだろうか。
これは医者を除いて、資格試験と言われているモノの中で最も金がかかる。
1科目からでも受験可能とあって、とっかかり易いという反面、はまったら抜け出せない蟻地獄のような試験。
よく考えてみて。簿記とか宅建とかと同じ、一つの資格を取るために250万だよ??普通に考えておかしいと思わない??税理士試験はその1科目1科目が一つの超難関国家資格みたいなものだから、それを×5するイメージ。
手をつけてしまい、諦めた時にはもう周りにみんなは就活をしている。
しかし自分は税理士試験の勉強をしていたから何もその準備はしていない…。
終わった…
という具合。
100万、200万というお金、実感が沸かないかもしれないが、サラリーマンが貯めるのは本当に苦労するお金。
それを親があなたに投資してくれるわけだね。
親は子供が「税理士を目指したい」なんて言った日には突然メクラになるから、子供を信じきりガンガン金をつぎ込むだろう。
これを止められるのは、言い出した君だけなんだ。
「自分には会計の才能がない」
そう思ったらいち早く辞めてあげて、親のためにも、自分のためにも。
まとめ
何度も言うが、税理士になりたいという気持ちは立派。
そうそう決断できるものでは無いし、持っている人は少ない。
また、前述したように今資格試験の中で税理士が最も難しいと言われている。
ただ、その資格を取ったところで先の人生がバラ色に変わるわけではない。
それは誤解しないように。
私がこんなことをいうのは、前職で大手企業の経理をしていた経験があるから。
毎年のように中途で税理士や会計士の人間が入社してくる現状を見て素直に思ったこと。
いくら税理士・会計士の資格を取っても所詮内勤経理のアドバイザー程度でしか職がないのかと落胆した。
こいつらに話を聞いてみても、
「税理士法人なんてクソみたいなところですよ…」
「資格を取っても合コンくらいでしか使えませんね…」
「所詮事務資格ですし、最近はAIによる自動化も進んでいます」
「戻れるなら間違いなく公務員を目指します」
って言葉ばかり。
さすがに“仕事が無い”ということはありえないらしいが、期待するほどの収入は得られないということだった。
これらを参考にして、大学生の諸君が本当に税理士を目指して取り組もうとしているのか考えて欲しい。
また、迷惑を掛ける相手、つまり“親”は、あなたを応援するに決まっているから、冷静なジャッジをしてくれる人を見つけ、自分が税理士を目指すべき人材か判断してもらうのもいいだろう。