第87回センバツ高校野球大会に、野球の祖・正岡子規の母校である松山東高校が出場する。
「レジェンド校」と云われた古豪が21世紀枠としての選出ということで地元愛媛は沸きに沸いた。
この春の甲子園を盛り上げる存在となることは間違いない!
第87回センバツ高校野球出場校・偏差値ランキング~最も高いのは21世紀枠の松山東
愛媛県代表の意外な共通点
愛媛県の甲子園出場校の特徴は、公立高校、しかも進学校の割合が高い。
実はこれって、かなり珍しい事。
愛媛県の甲子園常連校といえば松山商業高校であったが、最近はあまり出場しなくなった。
最近は、宇和島東高校や今治西高校等が多く、これらの高校も進学校としても有名。
そして、今回選抜に出場する松山東高校も市内公立高校で一番の進学校。
「公立高校で」と付いているのは、私立愛光高校が、存在するから。
愛光高校は、東大や京大もしくは医学部に行くような男子私立高校。
県内だけでなく、四国や四国外からも生徒が、集まってくるような名門
(野球は弱いけどね…ボソ)
それに対し、公立高校である松山東高校は、中予の中学生しか受験できない。
※愛媛県を地域別に分けた時の呼び名で、東予・中予・南予と3つに構成されている
中予においては、松山南高校との差が少なくなってきたが、それでも一番難易度の高い公立高校として君臨し続けている。
愛媛代表の意外な共通点、私も調べるまで知らなかった…
ちなみに私立だと、あの安楽投手を要した済美高校も進学校として有名。
松山東高校とは
第87回センバツ高校野球の21世紀枠として出場が決まった松山東高校は、文武両道の学校として長い歴史を誇る、四国屈指の名門校。
松山東高校の歴史は古く、江戸時代後期の松山藩が設置した藩校に由来している。
明治維新後、藩校は旧制松山中学となり、その時に教師として赴任してきたのが作家、夏目漱石。
旧制松山中学での教師の経験が小説『坊ちゃん』の誕生に結びついたと言われており、『坊ちゃん』事実上の舞台が松山東高校なのだ。
戦後、愛媛県立の公立高校として校名が現在の松山東高校と改名。
松山東高校は、愛媛県内屈指の進学校として、東京大学や京都大学をはじめとした難関大学へ、毎年卒業生を送り込んでおり卒業したOBも名だたる著名人ばかり。
野球の祖である正岡子規、ノーベル文学賞受賞者の作家大江健三郎、映画監督の伊丹十三。
このように松山東高校は、優れた文人を輩出している学校ですが、その業績は文化芸術活動に留まらない。
田中麗奈さんの出演で話題を集めた映画「がんばっていきまっしょい」は松山東高校のボート部をモデルにしているが、ボート部を始め陸上部などの運動部が高校総体へ出場経験があり、活発な活動を行っている。
その代表格が、野球部だ。
松山東高校野球部
野球部の創立は明治25年と100年以上前にさかのぼり、その創始者は野球を積極的に日本に伝えた正岡子規であるとされている。
その野球部は、終戦直後の昭和25年には夏の選手権大会で優勝し日本の頂点に立った。
しかしその後、松山東高校野球部は長らく低迷の時代を迎えてしまい、甲子園から遠のいていた。
近年、そのような野球部に変化が訪れた。
それが卒業生である堀内準一監督が2007年に赴任。
短い練習時間を補うために、選手達の自主的な取り組みから「朝練習」が開始されトレーニングを積んできた。
その成果は、2014年夏の愛媛大会の決勝まで進んだことで証明された。
まさに63年ぶりの快挙。
さらに続く秋の県大会では準優勝という成果を収め、四国大会への切符も手に入れた。
四国大会では1回戦で鳴門高校に敗れたもののこれまでの好成績が評価されて、松山東高校野球部は21世紀枠でのセンバツ出場。
日本に野球を伝えた正岡子規の後輩達が、野球の聖地甲子園でプレイする。
これは日本の野球史にとって特別な出来事になるに違いない。