2014年のプロ野球ドラフト会議にて、
巨人から育成ドラフト2位指名を受けた川相拓也選手は、
巨人・川相ヘッドコーチの息子だ。
最近では育成選手として指名を受けた選手でも、
支配下登録されてプロとして活躍している選手もたくさんいる。
※主な活躍選手は以下掲載
そういった意味では、本ドラフトではなく育成ドラフトで指名されても、
実力が伴えばプロとして活躍していくことも十分可能である。
育成選手制度とは
育成選手制度(いくせいせんしゅせいど)とは、日本のプロ野球(日本野球機構、NPB)において育成を目的として球団の選手契約枠を拡大する制度。
日本プロ野球機構の決まりで支配下登録選手は各球団70名までしか
選手を抱えることができない。
しかし昨今の経済状況から、社会人野球など廃業・廃部が相次ぎ、
若い選手らの野球の裾野が狭まっていることが懸念された。
そのプロ野球界の将来発展の予防策として始まったのが育成選手制度。
そしてその育成選手を指名するのが育成ドラフト(2次ドラフト)といって、
本ドラフト(通常のドラフト会議)後に行われる。
育成選手と通常の選手との違い
育成選手として指名されると様々な制約を受け、
また限られた期間で結果を残さなくてはならない。
育成選手が受ける制約
- 背番号
原則「100」番台から始まる3桁。
巨人や楽天は「スタッフの番号と紛らわしい」
として「001」などの0から始まる番号も用いているケースがある。
中日は「200」番台から始まる3桁の番号を着用させている。 - 試合
出場可能な公式戦は二軍の試合に限られ、
同チーム5人までしか出場できない。
運用当初は、オープン戦・フレッシュオールスター・ファーム日本選手権は
出場できないとされていたが、現在は出場できる。 - 期間
3年以内に支配下登録されなければ契約解除となる。
支配下登録される条件は、チームの運営方針によるが、
実戦による結果と将来性がポイントとなる。
支配下選手登録された育成選手のファーム実績を見ると、
全員がまず結果を残していることが伺える。 - 年俸
最低年俸は240万円と決まっているが、
育成選手は「育成」を主目的にしているため大きな飛躍は望めない。
また、サラリーマンではないので遠征費は
支給されるが交通費は基本自腹。厳しい…。
ちなみに、
2軍選手の最低年俸は440万円。
※=配下登録選手の最低年俸
1軍選手の最低年俸は1500万円。
※1軍に数日間帯同した場合でも、1500万円に満たない分と差し引き
日割計算され支払いされる
支配下登録されるだけでこれらの制約は一気に解消され、その分年俸も飛躍する。
しかしその逆も然り。
ドラフトで指名されたのに関わらず、怪我に苦しみ、
また活躍が見込めず支配下登録から外れるというケースもある。
この支配下登録選手⇒育成選手への再契約は、
「リハビリ」という意味を込めて契約する場合もある。
脇谷(巨人)、中村紀洋(元中日・現DeNA)、狩野(阪神)など。
育成選手から支配下登録へ
育成選手として契約を結び、その後大きく活躍した選手はたくさんいる。
山口鉄也(巨人)
2005年巨人から育成ドラフト1位指名
新人王(2008年)
最優秀中継ぎ投手 3回(2009年、2012年、2013年)
オールスター出場 4回
通算200ホールド達成(2014年6月)
松本哲也(巨人)
2006年巨人から育成ドラフト3位指名
新人王(2009年)
ゴールデングラブ賞(2009年)
オールスター出場 1回
日本シリーズ特別賞(2012年)
千賀滉大(福岡)
2010年福岡ソフトバンクホークスから育成ドラフト4位指名
オールスター出場 1回
1イニング4奪三振:2013年4月17日(史上15人目パ・リーグ8人目)
岡田幸文(ロッテ)
2008年千葉ロッテから育成ドラフト6位指名
パ・リーグ特別表彰(2011年パ・リーグ新359シーズン外野手連続無失策)
ゴールデングラブ賞 2回(2011年、2012年)
通算100盗塁達成(2014年5月10日)
などなど…
まさにサクセスストーリーとも言うべきものではあるかと思うが、
実際に花を開かせている選手がいる。
そして、本当のところを言うとドラフトの順位が全てではない。
1位指名を受けても、活躍するかは分からないし、
4位や5位指名を受けた選手が大成する可能性もある。
- イチロー オリックス4位指名
- 前田智徳 広島4位指名
- 金本知憲 広島4位指名
- 新庄剛志 阪神5位指名
- 岩隈久志 近鉄5位指名
野球選手生命が最高で20年程度と短いにしても、
高校生・大学生が秘めている力はその段階では分からない。
ただ、上位の選手の方が活躍する可能性は高いのは間違いない。
その辺のプロのスカウトマンというのは素人の方が思っている以上に優秀。
ダルビッシュ・田中将大・糸井嘉男・前田健太
内海哲也・坂本勇人・鳥谷敬・金子千尋
中田翔・大谷翔平・藤浪晋太郎…
2014年のドラフトは「不作の年」とも云われているが、
岩隈久志、田中賢介、川崎宗則、高橋尚成、清水直行らが指名を受けた
1999年も同じように云われていた。
豊作か不作か、当たりか外れか
こればっかりは4~5年経ってみないと分からない。
(2012年 4球団競合の中 藤浪晋太郎を引き当てた和田監督)
「不作だ」
そう云われている選手らにとっては、奮起材料になるだろうし、
もともと下位指名スタート、育成スタートの選手らは後がないわけだから
それこそ死に物狂いで汗を流すだろう。
今回注目を受け競合した
早稲田大学の有原(日本ハム)、済美高校の安樂(楽天)
さらに育成で指名を受け注目を浴びている川相Jr.こと川相拓也
またスポットすら当たっていない選手達も、このドラフトの日があったから
プロ野球選手になれたわけだ。
数万といる野球選手の中から選ばれた代表として、精一杯頑張って欲しい。