バリアフリー・ユニバーサルデザインの問題点と解決策

日本は長寿国ですが、「健康寿命」はそれほど長くありません。つまり、老後の生活のほとんどが介護に頼らざるを得ない、又は介護をする人材が必要になるということです。

介護者と被介護者に負担が少なくなるバリアフリーは今後ますます需要が伸びていきます。増え続ける社会保障費を考えれば、軽度の介護認定なら、在宅介護が中心になっていくと思われ、住宅も軽度な介護を家族ができるような形に変わっていくでしょう。特に、トイレやお風呂等は、バリアフリーの住宅が増えると思われます。




バリアフリーには課題が山積み

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電動車椅子を使って外出する友人がいます。出掛ける時は、乗車駅と降車駅に事前に連絡して、駅員さんに介助をお願いするようですが、それ以外はなるだけ人の手を借りずに住むように努力している姿が見受けられます。

何度か外出先で待ち合わせをしたことがあるのですが、街中の舗道の段差には、よくドキドキさせられます。十年前に比べれば随分、バリアフリー化が進んでいるとは思いますが、それでも舗道の切れ目の段差や舗道そのものに凸凹がある所が沢山あります。彼の車椅子は電動ですから、ある程度の段差は力技で乗り越えることが出来るんですが、何かの弾みで段差にタイヤを取れてて空回りしてしまい危うくそのまま横転しそうになりました。

その時は、周りにいた友人たちと咄嗟に支えて事なき得ましたが、もしこれが、周りに誰もいない時に起こっていたらと思うと…。どこもかしこもバリアフリーにすればそれで良いと言うわけではありませんけど、手動の車椅子に乗る方や杖を突いた方なども沢山舗道を行かれます。車とは別の道と言う意味で舗道があるのなら、もう少し段差が何とかならないものかと思います。

このようにバリアフリーには現状抱えている問題が眼に見えないところ(当事者にしかわからない問題)が山積しており、その対策が急務なのです。

バリアフリーの問題点

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観光地域では未整備なところも多い

都心部を出ると意外にもバリアフリーが整備されている施設が少ないことを感じます。例えば先日、家族で訪れた温泉街の由緒正しい老舗旅館は宿泊費用もそれなりの高級旅館だったため高齢者の宿泊客が非常に多かったのにもかかわらずバリアフリーが全く整備されていませんでした。古い館内は確かに綺麗にリモデルされて非常に素晴らしい佇まいでしたが、段差はあるし、古くてかなり急な階段を上っていかなければならなかったのです。

昔ながらの佇まいを守るためにバリアフリー化を断念しているのだとか。高齢者の利用客も、ひたすら弱った足腰で階段を上っている姿を目にして何とも言えない気持ちになりました。こういった旅館は実は少数ではなく現在でもまだまだ存在するということですから地方都市のバリアフリー化はまだまだ先のことになるのかもしれません。

公共施設のバリアフリー化(ユニバーサルデザイン)も進んでいない

例えば何気なく歩いている歩道は凹凸が多く、ベビーカーはガタガタとタイヤをとられ、何度もつまずきそうになります。歩道を歩いていたはずが、急に段差があって車道に降りなければならないような道があったり、また歩道に戻るには段差をこえなければならないこともあります。

やっと目的地についても階段で、エレベーターは端っこにあるため上階に行くためには、かなり遠回りしなければならなかったり、場所によっては係のヒトに声をかけないと、エレベーターが使用できなかったりということも。

ベビーカーなら、子どもの成長とともに必要なくなる場合も多いですが、これが車いすになると、やはり公共施設の早期整備が求められます。

補助金対象にならなければ費用がかさむ

段差解消、玄関部分、トイレ、お風呂、滑りづらい床など、どんな家でもバリアフリーリフォームを行うと安く見積もっても100万円ほどはかかってしまいます。

ご両親が補助金の対象にならない場合はダイレクトにこの金額がかかってしまうため、未だ「手軽に」始められるものという印象はありません。

タッチパネル

今では何も珍しくない「タッチパネル」。例えば自動販売機や発券機、今では居酒屋の注文などもタッチパネルなどが使われていますが、健常者には何の問題もなく使えるものでも、障がい者の方にとっては、文字が小さくて見えづらかったり、車椅子の人にとってはパネルの位置が高かったりと、普段の私たちの視点では気づかないけれど、生活しづらいことがたくさんあるそうです。

「便利」と「バリアフリー」の両立は非常に難しく、バリアフリーを進めすぎると国としての進歩を滞らせることにもつながります。

マンションのバリアフリー化が進まない、マンションが終の住処にならない

自宅マンションは高齢者が暮らすのには適していないと判断されています。築20~30年以上のマンションになると、当時から見て高齢者が住むという前提自体がなかったためでしょうが、共用部分はバリアフリーへの改装が難しくなっており、玄関もエレベーターホールも車いすなどが通りにくいほど手狭になっています。

実際に自宅マンションに住んでいた高齢者は生活ができにくくなると、別の場所に転居する人がほとんどです。また相続の問題もあり、マンションを残したまま施設に入ったり、孤独死するのを避けるため、早い段階でマンションを売却してしまうのだといいます(引用:マンション売却と相続)。

世界的にもバリアフリーは進んでいない

これだけ問題がある日本のバリアフリーの問題でも、世界的に見たらかなりの進歩があるそうです。

例えばアメリカのバリアフリーはかなり進んでいるように思えますが、エレベーター・エスカレーターがあるべきところになかったりするのは当たり前で、健常者以外はまるで生きられないような仕組みになっています。世界規模で「バリアフリー」というものを見てみるとまだまだ進展が遅れていると言えます。

中でもバリアフリーに熱心な国といえばフランスです。フランスの友人に日本のバリアフリーの印象を聞いたところ、住宅としては非常に細かいところまで気を使って設計をしていることはわかるが正直、街づくりという観点では、フランスには遠く及ばないということでした。

特にこれから迎える東京オリンピック、国境や年齢を超えて多くの方々がお見えになるにあたって、言語対応や車いすの対応などもっと工夫できるところはあるというわけです。もちろん、日本全国でこうした対応を行うには費用対効果が問われますが観光地や海外の方などを多く招きたいのであれば、もっと投資して気を使うことが重要だとコメントしていました。

ソフト面のバリアフリーが全く進んでいない

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バリアフリーというと、建物や設備の構造を工夫して、高齢者や障害のある方に使い易いようにすることと考えます。実際、バリアフリーの環境が整えられてきていると思います。しかし、整えればこれで不自由さは無くなったのでしょうか。

例えば、スーパーや公園で、車いすや障害者専用の駐車場があります。ここに、混んでいるから・雨が降って濡れるからという考えで、健常者が平気で止めることがあります。このことが、整備されているがバリアフリーでは無いということになります。

他にも、電車の中で優先席に若者が座り、携帯を見ながら知らんぷりする行為もこれに当たります。本当のバリアフリーとは、整備がされ、それに加えて人の心の優しさや気配りが加わることだと思うのです。現在、健康な人も怪我をしたり、いずれ高齢になり体も思うように動かなくなるかもしれません。そうした時「大丈夫ですか?」と声をかけられたら嬉しく思うはずです。また、妊婦さんや小さい子供連れの人の大変さを知り、手を貸してあげてもいいですね。皆さんで、心のバリアフリーを実践していきたいものです。




2016年7月19日 バリアフリー・ユニバーサルデザインの問題点と解決策 はコメントを受け付けていません。 住宅