【智弁・岡本和真】“超一流”のみが至上命題、巨人でドラ1指名を受ける意味

ドラフト制度が始まって2014年で50回目。
ドラフトで選手の「就職先」が決まってしまうことに対して賛否はあるものの、プロ野球をより楽しむイベントとして数々のドラマや歴史が刻まれてきた。

その記念すべき50回目のドラフトで巨人から1位指名を受けた男が岡本和真(智弁学園高)だ。
他球団と違い絶え間なくドライチ選手からスターを輩出してきた巨人からの指名の持つ意味は重い。

巨人が岡本を指名した理由と、ドラフト50年の歴史を紐解く。




巨人が岡本和真を指名した本当の理由

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これは完全な主観だが、巨人が岡本を指名した理由は「他に指名する選手がいなかった」からではないだろうか。
「不作の年」と言われた2014年ドラフト会議。
岡本のスカウト評価は「中田翔には到底及ばない」とする声が最も多く、実際巨人の単独指名で終わった。

環境や資金力・実績のあるチームは高校生を多く指名する傾向にある。
球界一の戦力を誇る読売巨人軍にとって、今回のドラフトはまさに「余裕の指名」だったわけだ。

ソフトバンクの指名も5人中4人が高校生と育成に自信が伺える大胆なドラフト。

岡本の巨人からの指名は本人の耳にも届いていない。
仮に巨人以外の指名だった場合、こんなに雑誌・ニュース等でフューチャーされることはなかっただろう。

巨人からの指名というのは、つまりそういうことを意味するわけだ。

パワーヒッター育成にはジャイアンツという環境が最適

なぜジャイアンツというチームが毎年圧倒的な戦力を保てるのか。

それは豊富な資金力と環境、選手層の厚さから、選手を思いのままに育て上げることができるからだ。
野球は、全てそれなりに長けた選手ばかりが揃っているより、「○○のスペシャリスト」など特徴のある選手が揃っている方が強い。

巨人はまさにそれ。

バッティングのスペシャリスト、足のスペシャリスト、バントのスペシャリスト、守備のスペシャリスト、左のワンポイントも、勝利の方程式も完璧だ。

これらを育成するには、豊富な人材、環境、コーチが必要で、それが巨人には備わっているのだ。

中でも「強打者育成」にはチーム事情も絡み、育てるのは至難と言われている。
「球界を代表する打者に育てたい」と思っていても、実はバットをフルスイングできるような場面で打席に立てることは少ない。
状況に応じてバッティングを変え、時にはチームのためのバッティングをしなければならないときがある。

綺麗事のように「4番がチームバッティングをするところは強い」と言われたりするが、それは結果論。

圧倒的に強いチームであれば『4番は全打席ホームランを狙う』のが仕事だ。
野球は点を多く取った方が勝ち、すなわち「ホームランこそが真のチームバッティング」なのだ。

いつしか日本の野球は、「スモールベースボール」「繋ぐ四番」などという言葉が流行った頃から「ホームランがチームバッティングではない」という風潮が漂った。
話は逸れるが、メジャーに挑戦する打者たちが成功できないのはこの影響ではないかと考える。

しかしこれができないのが今の日本のプロ野球。
「ブンブン振り回してもいいぞ」と言えるチームで打席に立たせてもらえることが、大打者育成に必要な環境。
確かにこれは難しい。

毎年成績の奮わないチームや、優勝経験の無い選手らを多く抱えるチームにとっては毎年毎ゲームが勝負。
一選手だけにエコひいきをするわけにはいかないのだ。

結果・データとしても巨人から1位指名を受けた選手のほとんどはスター選手となっている。
活躍して「超一流」になることが最早約束されているようなもので、逆に他球団では「皆平等」という観点で育成しておりドラ1選手が活躍している割合が少ないのだ。

ジャイアンツドラ1展望

ドラフト1位選手で、年代・ポジション問わず絶え間なくスター選手を輩出しているのは実は巨人のみ。
2015年1月7日に発売された『週刊ベースボール』では「12球団ドライチ活躍度」という企画が組まれ、各球団の50年間のドラ1指名選手のベストナインを発表している。

その選出された選手の能力と照らし点数でランク付け、結果は以下のとおり。

1位:巨人(99点)
⇒松井秀喜、原辰徳、阿部慎之助 他

同率2位:広島(90点)
⇒北別府学、山本浩二、前田健太 他

同率2位:中日(90点)
⇒星野仙一、立浪和義、川上憲伸 他

4位:西武(85点)
⇒東尾修、松坂大輔、清原和博 他

同率5位:オリックス(75点)
⇒山田久志、長池徳二、金子千尋 他

同率5位:阪神(75点)
⇒江夏豊、田淵幸一、鳥谷敬 他

7位:日本ハム(70点)
⇒ダルビッシュ有、糸井嘉男、大谷翔平 他

7位:ロッテ(70点)
⇒村田兆治、有藤通世、伊良部秀輝 他

9位:横浜(65点)
⇒山下大輔、谷繁元信、佐々木主浩 他

10位:ソフトバンク(50点)
⇒城島健司、井口資仁、和田毅 他

11位:楽天(40点)
⇒田中将大、則本昂大 他

11位:ヤクルト(40点)
⇒荒木大輔、石井一久、山田哲人 他

★圧倒的な巨人の育成力とスカウトの目…活躍選手一覧

1966年:堀内恒夫(甲府商業高)
1968年:高田繁(明治大)
1976年:篠塚和典(銚子商業高)
1980年:原辰徳(東海大)
1981年:槙原寛己(愛知大府高)
1982年:斎藤雅樹(川口高)
1985年:桑田真澄(PL学園)
1993年:松井秀喜(星稜高)
1998年:上原浩治(大阪体育大)
1999年:高橋由伸(慶應大)
2001年:阿部慎之助(中央大)
2003年:内海哲也(東京ガス)
2007年:坂本勇人(光星学院)
2009年:長野久義(Honda)
2012年:菅野智之(東海大学)

環境だ資金力だと多々言ってきたが、結果を残さなければいけないのは自分。
しかし野球人として最も才能を伸ばすことができるのがジャイアンツであることは間違いないのかもしれない。

他球団から1位指名を受け入団を拒否した選手が上記にも何人もいる。
しかしその選手らはものの見事に全員活躍している。
アンチ巨人としては受け入れがたいことだが、これが現実なのだろう。

岡本和真の魅力

「中田翔以下」「不作の年」と言われていても、岡本自身に実力が無いということではない。

高校通算本塁打は73本、昨今ではあまり重要視されていない数字だが、誰でもできるわけではない。

野球解説者の赤星憲広(元阪神)は岡本の魅力・1軍に上がる術について、

バットに当てたあとのフォロースイングが大きくホームランバッターとしての素質を持っている
巨人は夏に1軍・2軍の入れ替えが必ずある。開幕は2軍スタートでいいから、夏場までに結果を出せばチャンスが必ずある

1年目の坂本勇人がそうだったように、目指すべき先輩を例に解説した。

また岡本が“絶対にやってはいけないこと”として、次のようなことを挙げた。

プロの洗礼を浴びフォームが小さくなり、単打を狙うことはしないでほしい(大田がそれで失敗したため)。岡本選手にとっての“結果”はHRである。打率は気にせず、2軍で夏までに10本以上のHRを目標に!

まとめ

岡本の背番号は「38」

この所以は、長きに渡り「4番・サード」を任されてきた二人の背番号をかけあわせたものである。
長嶋茂雄終身名誉監督が背負った「3」と、原辰徳監督の現役時代の「8」

もう巨人としては育てる気満々といった感じだろうか。

日本のプロ野球では、ジャイアンツの環境は間違いなくトップクラス。
野球人としてはこの上ないことだろう。

だからこそ岡本には、高校時代からの才能を潰すことなく思いっきり持ち前のパフォーマンスを発揮してもらいたいと思う。
「不作の年」から「日本の4番」が誕生することを待ち望んでいる。

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岡本和真(おかもと・かずま)

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生年月日:1996年6月30日
出身地:奈良県五條市
身長:183cm
体重:95kg
投打:右投右打
ポジション:内野手
プロ入り:2014年ドラフト1位
経歴:智辯学園高校~読売ジャイアンツ
2015年の目標:「ケガをしない」「1年目はファームでホームラン王、2年目に新人王」